キャリアを築くために必要なこと
イギリス(海外)でのキャリアアップするためには、しっかりとリサーチをして、計画的に進めていくことが大切。また、外国人・第二言語のハンデを克服しながら、イギリス式の戦い方を学ぶことも欠かせない。これらがすべてそろってキャリアアップが実現すると感じる。

イギリスで看護師免許を取得したあとに作ったキャリアアップノート。目標、リサーチ、計画、リフレクションを書き残している📒
現在働いている職場で昇格を目指す
日本人にとって一番目指しやすいのが、現在働いている職場での昇格だ。働きぶりを間近で見ている上司に評価してもらえれば、ポジションが空いたときに声を掛けてもらえる。
そのおかげもあって、私は3年の間に自部署でのシニアポジション、クリニカルナーススペシャリスト(代替職員)の誘いを受けた。目標がCNSになることだったので、このオファーは受けたかったけど、転職手続きがほぼ完了していたから泣く泣く断念した。残念だけど、いつかまたチャンスが巡ってくるはず!
イギリスでの臨床経験が浅い人は、まずは現在の職場でチャンスを探すのがおすすめ。バンド6までなら面接のパフォーマンスが微妙でも多少は目をつぶってもらえるし、働き慣れた職場で継続して働けるのも良い。
ロンドンは人の出入りが多く、求人も豊富なのでキャリアアップチャンスが多い。労働環境の悪い職場は離職率が高く、半年の間に半分のシニアスタッフが辞めたカオスな職場もあった。そういった職場では何をしなくても1年半くらいでチャンスが巡ってくる。
キャリアアップのために今すぐできる行動チェックリスト
必須研修は期限内に100%受講する
国民保健サービス(NHS)で働くスタッフには、必須の研修がある。研修は1年毎など定期的に受け続ける必要があり、有効期限がある。師長とエデュケーターは、研修の達成率をチェックできるので、期限が切れたまま放置しているとバレてしまう。しっかりと必須の研修を受けて、まずは一スタッフとして責任を果たすことが最低限である。
希望ポジションに必要なスキル・コースを習得する
ポジションによって求められるスキルを習得すると有利になる。まずは、希望するポジションにどのようなスキルが必要なのか、どのようなコースを受けているとよいのかリサーチをする。
時間管理を徹底し、遅刻をなくす
イギリスは時間に緩く、数分~数十分の遅刻なら問題にならない。でも、上のポジションに立つなら常習的な遅刻は印象が悪い。頻回の遅刻は業務に支障がきたすし、時間管理ができない人を昇格させたいと思わない。
病欠制度を正しく利用する
国民保健サービス(NHS)の良さは、病欠を取得しやすいところだ。ただ、その病欠制度を悪用して、頻繁に欠勤するスタッフもいる。体調不良のときに病欠をとるのは大切なことで、それ自体はまったく悪くない。ただ、ズル休みはしないということだ。
日本ではありえないが、そういうスタッフがイギリスにはいて、すぐにバレる。病欠なのにSNSで遊んでいる写真をアップしたり、わきが甘い人がたまにいる。そういった無責任な人には昇進の話は回ってこない。
バンクシフトと通常シフトのバランスに注意する
たまにバンクシフト(通常のシフトに加えて働くこと)をたくさんして、通常のシフトを病欠する人がいる。そういった行動も上司はすぐに気付くので無責任な働き方はしない。
アプレイザル(Appraisal)をする
国民保健サービス(NHS)で働くと、年に数回アプレイザルという目標設定とパフォーマンス評価をするミーティングがある。ミーティングは、師長またはシニアポジションの看護師が担当する。このミーティングで自分のキャリアプランを目標に入れ込み、上司やシニアスタッフと共有する。そうすることで、上司など周囲からの目標を達成するためのサポートを受けやすくなる。
アプレイザルは、師長やミーティング担当者によっては実現しないこともある。ミーティングが持てない場合は、個別に自分の目標についてオープンに上司やシニア、教育担当と話す機会を持つことをおすすめする。
チームプレイヤーになる
イギリスではチームプレイヤーであることを求められる。日本人は真面目さを評価されることが多く、これは大きな強みでもある。ただ、真面目一本で働いていると「一人で黙々と働いている人」になりがちで、文句を言わずに働く人として都合よく扱われてしまうことがある。真面目に働くことに加えて、チームメンバーと協力し合いながら働くことが大切。
トラブル対応力・問題解決能力を磨く
NHSは行き当たりばったりが多く、物事がうまく進まないことが多い。また、日本と違って患者から過度なリクエストや暴言・暴力を受けることもある。こういったトラブルが起きたときに適切に介入して解決することが求められる。
こういったことを他人まかせにしていると、問題解決能力がないと評価される。自ら解決するだけでなく、同僚や上司の力を借りたり、他部署の連携することも大切である。
マークのあるものは、特に重要でこの要素がなければ院内での昇格のチャンスは低くなる。職場にメンターがいれば、どのようにこれらのソフトスキルを磨けるか、自分にどういった部分が足りないか相談してみることをおすすめします😊
病棟看護師としてバンド5から6に昇格した道のりは、こちらでまとめています。

努力しても昇格できないことがある現実
努力をしても残念ながら実らないこともある。上記にあるポイントをすべて実践しても、上司から評価してもらえないこともあるし、正反対の人が昇格することだってある。上司の好き嫌い、人種の壁など、自分でコントロールできないことであったり、自分では気付けない何かがあったりすることも。
日本とイギリスでは求められるスキルが大きく異なるため、実際のところ、どのようにスキルを伸ばしていけばよいのか手探りになることが多い。私自身も経験を通してトライ&エラーを繰り返してきたが、こうしたことを教えてくれる人がいて欲しかった。そして、今でもこれからのキャリアのために必要だと感じている。
この経験を通じて、ジュニアスタッフや日本人看護師のキャリアアップのサポートなど、まだまだ私自身も道半ばだけど、今の自分に出来ることを還元するようにしている。この前のコーチング・メンタリング研修もサポートするスキルを磨くために受けて、とても勉強になった。

さいごに
外国人としてキャリアアップするのは簡単ではないけど、頑張った分だけ結果が返ってくると実感している。自分のやりたいキャリアを目指せること、そして自分のスキルと可能性を最大限に発揮できる環境がイギリス(NHS)にあって、それが今後もイギリスで働きたいと思う理由のひとつにもなっている。
職種にもよるけど、バンド6なら多くの人にチャンスがあると思う。キャリアアップに興味のある人は、積極的に挑戦してみてください🏵️ You can do it!