病棟勤務(4年目~)

コーチング・メンタリング研修を受ける

コーチング・メンタリング研修

2024年に一年を通してリーダーシップ研修を受けた。

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リーダーシップ研修が佳境に入ったとき、次に伸ばしたいスキルとしてコーチングとメンタリングが頭に浮かんだ。

シニアスタッフとして、ジュニアの指導・教育やキャリア支援を担う中で、単に「教える」だけではなく、相手の成長を促す関わり方を身につけたいと思った。また、イギリスで働く看護師の方々をサポートし、キャリアについて相談を受けることも増えてきた。そうした場面で、自分の経験談に頼るだけではなく、相手自身が答えを見つけられるようサポートできるスキルが必要だと感じたこともコーチングを学ぼうと思った理由のひとつ。

コーチング・メンタリングとは

コーチングとメンタリング。両者は明確に異なるものだが、現場では混同されていることも多い。実際、私自身も違いがよく分からずにいたが、今年になってようやくその違いを理解することができた。

コーチングとは、相手が自らの目標を明確にし、潜在能力を最大限に引き出すことを支援するプロセス。コーチは問いかけやフィードバックを通じて、相手の気づき・行動変容・成長を促す。

メンタリング(メンターシップ)は、その分野経験豊富な人(メンター)が、自分より経験の浅い人(メンティー)に知識・助言・支援を提供する。

これまで私が職場やイギリス看護師のサポートで行ってきたのは、おそらくメンタリングに近く、そこにコンサルティングの要素を加えたものだったと思う。コーチングはそれとは異なり、適切な問いかけやフィードバックのスキルが求められる。このスキルはきちんと学ばなければ身につかないものだと感じた。

研修を受ける

国民医療サービス(NHS)では、医療・看護系だけでなく、ソフトスキルを向上するための研修が充実している。これらの研修はすべて無料で、上司に相談すれば研修(Study day)として勤務時間内に給料をもらって研修を受けることができる。

ちなみにNHS以外にもコースなどのリソースはたくさんある。リソースはイギリス看護師のキャリアアップリソースでまとめている。

最初に受けた研修は、前職場でコーチング・メンタリングの基礎を学んだ。この研修は理論的なもので、結局コーチングとメンタリングの違いもよく分からず終わった。

そのあとに新しい職場でコーチング研修を2回受けたが、これがとても良かった。現職場には教育・人材開発を専門とするスタッフがいる。研修では実際に模擬面談を行い、講師から具体的なフィードバックを受けることができた。

コーチングの原則@研修にて

GROWモデル

コーチングで広く使われている目標達成や問題解決のための対話フレームワークで、このモデルをもとに問いかけをしていく。

  • Goal:目標
  • Rality/Resource:現状把握
  • Options:選択肢
  • Will:意志、行動

参考:基本的なコーチング「GROWモデル」

実際にこのGROWモデルを使い、コーチングをする側・受ける側の両方を体験した。

コーチングを受ける側として面談に臨んだとき、自分でも驚いたのは、質問に答えていくうちに、自分の中にあった考えや答えがどんどん引き出され、整理されていったことだ。思考が言葉になるにつれて、目標が明確になり、面談の終わりには「もうあとは行動するだけだ」と自然に思えた。

一方、コーチングをする側に立って感じたのは、人は誰かに教えられなくても、すでに心の中に答えを持っていることが多いのではないかということである。問いかけを重ねるうちに、相手が自ら考えを掘り下げ、次々と言葉にしていく姿を目の当たりにし、コーチングの力を実感した。

見えた課題

すべての研修を終えて、課題も見えてきた。

イギリスの研修スタイルは、講師と参加者が積極的にコミュニケーションを取りながら進んでいく。講義の途中でも「あなたはどう思う?」と講師から意見を求められることが多く、質問があればその場でどんどん発言していく。

日本で一方通行の授業スタイルに慣れて育った私にとっては、まだ戸惑う部分もある。私は内省的で、講義のあとにじっくり考えを深めるタイプなので、この活発な意見交換とテンポには、いまだに圧倒されることがある。

『鬼滅の刃』の主人公・炭治郎が「悔しいなぁ 何か一つできるようになっても またすぐ分厚い壁があるんだ」とこぼす場面がある(第66話「黎明に散る」)。

海外で働くことは、まさにこの連続である。ひとつ課題を乗り越えても、息をつく間もなく、次の課題が「ハロー」とやってくる。壁は絶えることがなく、たとえ日本にいたとしても人生にはさまざまな壁があるだろう。

ただ、こうした文化の違いへの適応も、年々スムーズになってきた。今では「今日はこんなことを学んだ」「私はこう思った」と自然に口に出るようになり、すっかり変わってきたと思う。

次のステップ

新しいことを学ぶのは楽しい。研修を受けて、次に習得したいスキルはコーチングだと確信できた。今後はコーチングの資格を取るためにコースを受ける予定で、職場と相談中。

ただ、もうひとつ受けようと思っているコースがあるので、どちらか選ばないといけない場合は、違うコースを選択すると思う。両方できたら最高だけど、どうなるかは分からない。やりたいことがたくさんあって、それを挑戦できる環境にあるのは本当に幸せなこと。もう一つのコースについては改めてブログで書きます📚

ABOUT ME
Mari
Mari
日英看護師。2012年看護師免許取得。総合病院勤務を経てカナダへ医療英語留学を経験。2021年に渡英しイギリス看護師免許を取得。ロンドンの大学病院(NHS)の循環器病棟にてシニアスタッフナースとして勤務。

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