イギリス看護師の免許を取得してから丸3年が経った。私が免許を取得した2021年と比べて就職状況が大きく変わったので、現状と対策についてシェアしたい。
新卒看護師の就職難
2024年6月、イギリス新卒看護師向けの職が減少し新卒看護師が困っているというニュースを耳にした。
参考:New nurses struggle to find jobs despite national shortage
多くの医療現場が人手不足に苦しんでいる状況でありえないと思ったけど、本当に新卒の就職難は起きている。看護師の求人数も減っていて、国民医療サービス(NHS)が募集した看護師求人全体が2023年は41,600件だったのに対し、今年は31,300件に減少したと報告されている。この調査結果は看護師全体の求人数で、役職、部署やエリアなどの詳しいデータについては含まれていない。
参考:Thousands of newly qualified nurses can’t find jobs as NHS chiefs forced to slash roles
それでも30,000件以上の求人数があると思う人もいるかもしれないが、看護師不足が社会問題となっているイギリスで求人がたった1年間で約10,000件も減少するのは衝撃的な出来事だ。また、日本と違ってイギリスでは経験が重視されるため新卒にとっては厳しい状況になっている。
就職難の背景
なぜ看護師不足にも関わらず求人数が減っているのかというと、NHSが資金不足だからだ。資金不足のため看護師を雇うことができず、求人数が減っている。今までも資金不足なことは変わりなかったが、今年に入って急に経済的に厳しさが増したのを実感している。
外国人看護師への影響
この影響は外国人看護師にも広がっていて外国人看護師向けの求人数も減っている。私が勤める病院では、ほぼ毎月外国人看護師を数十人単位で採用していたが、去年の秋頃から一括採用がなくなった。現在はイギリス看護師免許を持った人のみを採用している。
私が就職した2021年はと比べたらありえない状況だ。当時はEU離脱と新型コロナで人手不足に拍車がかかっていた時期で、外国人看護師確保のために多くのサポートを提供していたが、現在は資金不足のためにサポートが少なくなっている。
イギリス看護師の免許を取得するためにはOSCEという最終試験を受ける必要がある。以前は多くの病院がOSCE研修を無料で提供していたが、有料化(£1000)したり、研修を廃止するケースもある。
イギリス看護師への影響
この影響は現在イギリス看護師をしている人にもある。人員補充が少ないため業務負担は増え、求人数の削減によって転職とキャリアアップの難易度が上がる。イギリスの看護師の役職と給料はバンド制で決まっている。バンド上位職は人件費が高いので予算によってはポストが削減されたり、上位バンドの業務を下位バンドにさせたりすることが起きやすい。この問題については下記で詳しく書いている。
就職難を乗り越えるために
この状況がいつまで続くか分からないが、しばらくはイギリス移住を目指す外国人看護師にとって就職先を見つけるのが難しくなると考えられる。
イギリスで看護師を目指している人は、相当の努力、時間、お金をかけているので、その努力が報われて欲しいと思っている。この就職難を乗り越えるために私だったらどのような対策をとるか考えてみた。
民間のOSCE研修を受ける
病院が提供するOSCE研修を受けてそのまま就職するルートが一番良いと思うが、もし外国人看護師向けの求人が見つからなければ民間のOSCE研修を受けることをおすすめする。
日本人看護師にとってはOSCEはかなりハードルが高い試験のため研修を受けたほうが絶対に良い。たまに自力で対策して合格する強者もいるが、彼らは英語で看護教育を受け、自国で英語を使って臨床経験を積んでいる。バッググラウンドに雲泥の差があるので、費用(相場は£1000)が高くても受けたほうが自分のためになる。
観光ビザで入国し民間OSCE研修を受け、免許取得後に就職活動というルートになる。評判の良い民間OSCE研修について知りたい人はこちらに連絡ください。
HCAとしての経験を積む
30歳以下であればYMSビザを取得しヘルスケアアシスタントとして働くことができる。イギリスでの職務経験とコネクションを得られるのは大きい。
面接対策を徹底的にする
競争率が上がっているため、勝ち抜くために徹底的に対策する。日本とイギリスの看護師面接のスタイルはまったく異なるので注意が必要。
私自身の経験、イギリス看護師を目指している方のサポート経験を活かし、イギリス看護師の免許取得、就職面接対策のサポートをやっているので興味がある方はコメントまたは問い合わせに連絡ください😊