はじめに
ロンドンの国営病院(NHS)で看護師として働き始めて約2年が経とうとしている。さまざまな縁があってイギリス・ロンドンに辿りついたが、外国人看護師として働くなかで「ロンドンを選んで良かった」と感じたことは何度もある。
今回は、今までの経験を元にイギリスの首都・ロンドンで看護師として働く魅力をシェアしたい。
ロンドンで看護師として働く魅力
人種の多様性
元々ロンドンは人種が多様で様々な国のカルチャーで溢れている。NHSで働く多くのスタッフの白人(約74%)だが、ロンドンでは黒人・アジア人などで構成されるマイノリティーグループ(Black and minority ethnic: BME)が約45%を占めている。
私の病院では白人のイギリス人看護師は病棟に1~2人で人数的には外国人のほうが圧倒的に多い。出身国は違えど、同じ外国人の仲間が職場に数多くいることは精神的に心強い。
外国人仲間がたくさんいる
人種の多様性のおかげで同じ外国人看護師の仲間がたくさんできる。異国で働く大変さ、家族と故郷を恋しく思う気持ちを共有できるのはとても大きい。励まし合い、支え合うことができる仲間が常にいるのは外国人として働く上でかなりのメリットだ。
有名な病院が多い
2023年のイギリス全土の病院ランキングのトップ10の半分は、ロンドンの病院が占めている。有名な病院は評判も良く、教育が充実しているためスタッフにとっては多くを学べる良い環境が整っている。
未経験の分野にも挑戦しやすい
これはロンドンに限らず、イギリス全体に当てはまる。イギリスは看護師が慢性的に不足しているため、経験を問わず募集している部署が多い。私はそのおかげもあり、未経験の科に就職することができた。病棟スタッフであれば、就職先がたくさんあるため自分のやりたい分野の経験を積みやすい。
キャリアップのチャンスが多い
ロンドンには他の都市と比べてたくさんの病院があり、その分だけ求人が多い。人の出入りも多いため、私の職場では数ヵ月置きに誰かが退職しては新しい人が入職してくる。これらの背景からキャリアアップのチャンスが多くあり、自分の努力次第でキャリアを切り開いていくことも可能だ。キャリアアップをしている外国人看護師も多くいるため、ロールモデルとなる存在と日常的に関わることもできる。
人の出入りも激しく、日本のように年功序列の文化もないため経験年数に関わらず、その人のスキルに合わせて仕事を任される。人手不足なので否応なしに色んな仕事が回ってくるのもNHSの特徴だ。
大都市手当がある
ロンドンのNHSで働く場合、大都市手当をもらうことができる。エリアによって手当は異なり、基本給の5~20%分が上乗せされて支給される。ロンドンの物価はかなり高いためこの手当はかなり有難い。手当がもらえるのはロンドンだけであり、他の都市で働く場合はもらえることができない。
イギリスはどの都市に住んでも全体的に物価が高く、オックスフォードやケンブリッジのようにロンドンに続くくらい物価(特に家賃)が高い都市もあるため、都市選びは重要だ。
ロンドンで暮らす魅力
ここまで看護師としてロンドンで働く魅力を紹介したが、ロンドンで暮らす魅力もシェアしたい。
ロンドンは博物館と美術館・ミュージカルが充実しているため、アート系の娯楽が好きな人にはぴったりの町だ。レストランもたくさんあり、世界各国の料理を楽しむことができる。
大都市にも関わらず、木々が生い茂る公園がたくさんあり、東京にはない自然を楽しむことができる。
公共交通が発達しているため通勤もしやすい。地方都市に行くとロンドンの交通の便の良さと運賃の安さにいつも気付かされる。ロンドンを拠点に他の都市やヨーロッパに遊びに行きやすいのも便利だ。
物価の高さに悩むときも多々あるが、今のところはまだロンドンで経験を積み、ソーシャルライフを楽しみたいと思う。
おわりに
海外で看護師を目指すにあたり、国選びの次は都市選びが待っている。イギリスには大小さまざまな都市があるため、物価を考慮しつつ、自分の生活スタイルや好みに合わせて選べると良いと思う。ロンドンは人種の多様性があり、外国人看護師にとって働きやすい都市でチャンスも多い。物価が異常に高いのが難点ではあるが、外国人看護師にはおすすめの都市といえる。
参考:
London’s Workforce Race Strategy
World’s Best Hospitals 2023 – UK
High Cost Area allowance (NHSE)