病棟勤務(1~3年目)

イギリス看護師のキャリア|病棟シニアスタッフナースの役割と給料

イギリスで看護師としてキャリアアップする

国民医療サービス(NHS)で働くイギリス看護師はバンド制になっていて、役職ごとにバンドと給料が設定されている。看護師免許を取得すると全員バンド5からスタートする。バンドが上がれば責任が増えるためあえて上のポジションを目指さない選択肢を取る人もいる。現在のポジションに満足していれば転職する必要もないし、キャリアアップは完全に自分次第だ。

イギリスで看護師として働き始めてから約丸3年が経過し、病棟での役割と責任が増えたのでこの機会に病棟で働くシニアスタッフナースについて紹介したい。

シニアスタッフナースとは

イギリスの病棟には、主に4つのバンドの看護師が働いている。多くを占めるのがバンド5のジュニアスタッフナースでその上にバンド6のシニアスタッフナースまたは副師長がいる。そして病棟を取りまとめるメンバーとして師長と部長がいる。

バンド5 ジュニアスタッフナース
バンド6 シニアスタッフナースまたは副師長
バンド7 師長
バンド8 部長

ジュニアとシニアの違いは病院によって違いがあるが、私の病院ではシニアはインチャージ(責任者業務)、ジュニアナースと学生の教育、各マネジメント、監査など幅広い場面で責任を持つ。

ジュニアとシニアの役割、人数構成は病院によって大きな差があり、シニアの仕事をジュニアにさせている病院も珍しくない。イギリスには人員配置、各バンドの業務を取り決める法律がないので病院の裁量によって決められていて働く病院によってかなり待遇は変わってくる。どこの病院も予算が不足しているためスタッフの搾取が起こりやすく、これはNHSの闇深いところである。イギリスでキャリアアップをするなら役割と業務を正当に評価してくれる病院選びが重要と思う。この件については別の機会に詳しくシェアしていく予定。

日本の病院にはジュニア・シニアの役割分担はなく、経験年数を重ねるごとに自然とシニアの役割をまかされることが多い。

役割

シニアスタッフナースの役割はチーム内でリーダーシップをとり、柔軟に対応していくことが求められる。

インチャージ(責任者業務)

日本のリーダーのような役割。病棟の責任者となるので責任が重い。スタッフの人員配置、ベッドの管理、患者を受け持つ看護師のフォローなども行う。

ジュニアナースと学生の教育

ジュニアナースのアプレイザル(評価)を毎年行う。アプレイザルはカジュアルなミーティングのような感じで目標設定、行動計画についてアドバイスを行う。学生の実習を評価するのもシニアの役割だ。

各マネジメント

人員配置、物品管理、安全管理、院内感染対策を行う。

監査

法律に基づいて記録がきちんと行われているかを監査する。

その他

勉強会を主催したり、シフト作成に関わったりなど病棟によって異なる。

給料

イギリス看護師の給料はスコットランドと北アイルランド以外、どこに住んでも一律の給料をもらう。ロンドンはエリアによって大都市手当をもらえる。(※1ポンド約190円で計算)

2年以下 £35,392 (約675万円)
2~4年 £37,350 (約713万円)
4年以上 £42,618 (約813万円)

ロンドン中心部で働くシニア看護師の給料はこちら。

2年以下 £42,469 (約810万円)
2~4年 £44,820 (約855万円)
4年以上 £51,140 (約976万円)

夜勤と休日出勤をすると上記に加えて約£3500~4000(約66万円)がプラスされる。シニア看護師になると給料はそれなりになる。

シニアスタッフナースのなり方

まずはジュニアスタッフナースとしての経験を積むことが必須である。シニアになるためには基本的に1年半以上の臨床経験が求められる。同じ病院でも職場によってジュニアからシニアへの道のりは違いがあるためその職場でシニアとして求められることを満たす必要がある。

どれだけ経験とスキルを積んでも、シニアポジションの空きがなければチャンスは訪れないため転職も選択肢に入れると良い。病院の数が多く人の出入りが激しいロンドンは求人のチャンスも多い。ロンドンであれば最短1年半でシニアになることも十分可能である。

シニアになるまでの道のり

イギリスで看護師になる前からシニアスタッフナースになることを目標にしていたので、イギリスの看護師免許を取得したときからリサーチと準備をしていた。2年以内、遅くても3年以内にシニアになることを目指していたけど、自分の職場でシニアになるチャンスが訪れたのは3年目の終わり頃。詳しい準備や道のりについては、またの機会に!

参考:

ABOUT ME
Mari
Mari
日英看護師。2012年看護師免許取得。総合病院勤務を経てカナダへ医療英語留学を経験。2021年に渡英しイギリス看護師免許を取得。ロンドンNHS病院の循環器病棟に勤務。

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