この記事はイギリスNHS病院の外国人看護師向けの求人についての就活体験記をまとめています。時期や状況によってイギリスの外国人看護師向けの求人事情は変化します。私の場合は新型コロナの影響を大きく受けました。あくまでも私が就活をしたときの一例として参考にしてください。
イギリスの外国人看護師求人の現状
2021年3月から再就活を始めました。すぐに外国人看護師の求人を探しましたが、新型コロナの影響で多くの病院が採用を一時的に見送っていて求人がほとんどありませんでした。
NHS jobsで求人を探しますが、嘘かと思うほど全然ありません。2週間探し続けて見つかったのはたったの1件のみ。
ロンドンにある病院で看護師長として働くロッシ真由美さんに就活について相談したところ、やはり外国人看護師の求人は少なくなっていると聞きました。そのため再就活が上手く行かなければ、現在もらっているオファーを大切にするアドバイスをもらいます。想像していた以上に厳しい現実を受け、期限を決めて再就活をすることにしました。
個人で就活
ここで前回していなかった個人で就活に挑戦します。正直、海外の就活経験がなくイギリスに行ったこともないため自分自身で就活する自信はありませんでした。多くの外国人看護師がエージェントを利用しているようだったので前回はエージェントを利用をしました。ですが新しいオファーをもらうために個人でも就活をすることにしました。
求人が掲載されていないなら自ら問い合わせするしかありません。興味のある病院のリクルート部門に片っ端からメールを送りました。また、可能性を広げるために前回とは異なるエージェントに3件登録しました。
就活の戦績
個人
問い合わせメールは全部で15件送りました。その内インタビューに呼ばれたのは5件でした。その他の11件の病院は、返信なし・免許取得者のみ・リクルート休止中という結果でした。
エージェント
1つ目ののエージェントは、募集している部署が現在または直近の部署と同じでないと求人に応募できないルールがありました。有効な求人が週2のペースで出されてもルールに当てはまらないために虚しく断られ続けられました。
2つ目のエージェントは、良い求人があり途中まで話が進行していたのですが、突然音信不通になりました。約束していた日にも連絡が来なかったため早々に諦めました。忘れた頃に「来週インタビューをセッティングできる」と返信が来ました。
3つ目は、エージェント専用のリファレンスフォームを事前に提出する必要がありました。応募前のリファレンス記入が面倒だったのでこのエージェントを通して就活するのは辞めました。
就活はタイミング
合計で5件のインタビューに呼ばれたと書きましたが、すべて別々のタイミングで呼ばれました。内定をもらったのは最初に返信がきたロンドンにあるA病院です。あとの病院はインタビュー直前や仮内定をもらったあとに連絡が来てタイミングが合いませんでした。
問い合わせ数日後、A病院からインタビューの誘いが届きます。その他の病院は返信がないか、現在募集なしの返信が続々届きます。ロンドンでの就職を希望していたため「もうこの求人しかない」と腹をくくり面接対策を始めます。
実はA病院は手当たり次第メールを送った病院のうちのひとつでした。そのため病院の詳細はよく分からず、面接が決まってからリサーチをしました。調べていくうちにとても評判が良い病院であることが分かり、キャリアアップもできそうな職場でした。しかも私が一番働きたい街、ロンドンにあります。募集部署での臨床経験はまったくありませんでしたが、自然と第一志望の病院になりました。
面接対策では、オーストラリアでクリニカルナーススペシャリストとして働く高橋奈央子さんにお世話になりました。そして募集部署での経験が豊富なオーストラリアの看護師Chaconaさんにアドバイスをいただきました。
面接までの約2週間、奈央子さんと面接練習1回、ネイティブの友人に2回、面接練習をしてもらいました。準備した質問は全部で23問、対策ノートは14ページになりました。
面接本番
今回のインタビューは師長と主任クラスの看護師2人が面接官でした。最初に志望理由を聞かれた以外はあとは臨床知識を問う質問が続きました。ベストを尽くしましたが、経験がない科に関する質問は難しく満足に答えることができませんでした。
「落ちた。たったひとつだけ求人のチャンスを失った。」と思い、最後に絶対に言うと決めていたとっておきの自己アピールもできずに面接は終わりました。せっかくのチャンスを無駄にしてしまった後悔の念に襲われ、かなり落ち込みました。
仮内定のメールが届く
翌日は一日中体調が悪く生きた心地がしませんでしたが、悲しみにひたっている時間はありません。次の病院の面接準備をしていたとき、英文のメールが届いたことに気付きました。これはA病院からのメールかもしれないと思って開くと、そこには”Offer”の文字が見えました。
手違いかと思いましたが書類に自分の名前が書かれていて名字も合っていることを確認し、やっと本物だと確信できました。「よかった、これであの病院に就職しなくて済む」と思うと一気に安心感に包まれました。
振り返り
2回目の就活中は必死過ぎてとにかく焦っていました。当初は面接につながったのがA病院だけだったので崖っぷちだと感じていましたが、全体を振り返ると計5件の面接に呼ばれたのでチャンスに恵まれた就活だったと思います。
その内の3件は就活終了後にインタビューの誘いを受けました。やはり就活はタイミングがすべてなのかもしれません。
外国人看護師の採用はどこかしらの病院で随時募集しています。求人サイトに掲載されていなくても、積極的に問い合わせてみる価値が大いにあります。
2回の就活を振り返り、何かと理由をつけて私はできないと決めつけていたと思います。「海外就職が初めてだから」「個人での就活は私にはできない」「私の経歴では再就活は難しい」など自信の無さから何も行動できないでいました。
個人で就活が成功したあと選択肢を狭めていたのは自分自身だったことに気付きました。何事もチャレンジしてみなければ結果は分かりません。たとえ思い通りにいかなかったとしても経験として自分の財産となります。何事も果敢にチャレンジしていく勇気を持つことを学んだ出来事になりました。
イギリスは深刻な看護師不足が続いているため病棟の看護師であれば、未経験の科、臨床k未経験でもチャンスがあります。面接は準備が命なので基本的な質問、臨床に関する質問をしっかり準備して臨むことをおすすめします。