イギリス看護師免許を取得するためには3つの試験に合格することが必要です。今回英語試験に続く2つ目の試験、CBTについてまとめています。
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はじめに
2014年10月以降、非EU/EEA圏看護師はTest of Competence(ToC)を受験する必要があります。ToCは下記2つのパートに分かれています。
- Part1: CBT
- Part2: OSCE
NMCに申請をして免許審査を終えたあとにCBTが受験できます。上記のテストは、免許審査が完了した2年以内に合格する必要があります。
CBTとは
CBT(Computer Based Test)は、理論的な実践に基づいた知識をテストする多肢多肢選択試験です。コンピューターベースで行われるためCBTと呼ばれておりPearson VUEによって提供されています。
CBTの概要 🗒
- Part A 計算問題 15問, 30分
- Part B 臨床問題 100問, 2時間半
- 受験料:£83
- 最大3回まで受験可能
イギリスの看護は専門性に合わせて4つの分野に分かれています。そのためCBTも分野毎に分けられています。
4つの領域
- Adult (general) nursing
- Children’s nursing
- Learning disabilities nursing
- Mental health nursing
領域については申請時に選ぶ項目があります。
CBTを予約するまで
免許審査後、NMCよりTest of Competence Invitationがメールで送られます。その後、テスト提供者であるPearson VUEからAuthorisation to test(ATT)が届いたらCBT受験の予約ができます。
ちなみに私はNMCのインビテーションが届いてから1週間待ちました。
CBTを受験する
予約すると受験に関する詳細が記載されたメールが届きます。持ち物やテストルールについて事前に確認が可能です。テストセンターに到着してから受験の流れはPearson VUEの動画が参考になります。
私は都内で受験しました。スタッフさんは親切かつテキパキした対応でとてもスムーズでした。

CBT対策
必読
CBTに必読なものとして下記の2つがNMC公式HPに公開されています。
- CBT information booklet for nurses and midwives
- The Code
The Codeは日本の看護者の倫理綱領にあたり、イギリスで看護職として働く上で必須の規範となっています。その他にも関連するPDFが上記リンクに掲載されているためチェックしてみてください。
The Royal Marsden Manual of Clinical Nursing Procesures
臨床看護技術のマニュアルがまとめられているテキストです。がん専門病院のRoyal Marsden病院が作成に携わっています。各看護技術の手順、根拠を初め理論とアセスメントツールなど掲載されています。
CBTに直接関係はありませんが、問題の根拠として調べられるのと、OSCE試験、就職してからの勉強にとても役立ちます。看護で使われる医療英語をたくさん学べることも良さのひとつです。1000ぺージを超える大ボリュームの本なので個人的にはKindle版がおすすめです。
Ms Karen Fayes The Notebook
外国人看護師の間でCBTの非公式に使われているテキストです。有志で作られたテキストでCBTに必要な知識が簡潔にまとまっています。非公式のため、ここにはファイルやリンクを貼りませんが、ネットで上記タイトルを検索すると無料でダウンロードできます。医療英語になじみのない人は、このテキストだけでもかなりの勉強になります。
CBTに必須の用語
CBTを受験するにあたり、必須の用語をまとめました。就職面接、そして実際に働くときにも役立つので、この機会に覚えるのがおすすめです。
6C Care, Compassion, Competence, Communication, Courage, Commitment
NHSが看護職に求める6つの資質。患者対応の問題は6Cに基づいた対応か考えると答えが見えています。
Deligation
仕事(タスク)依頼することをデリゲーションといいます。他者に仕事を依頼するときは、必ず相手の能力(competence)を考慮する必要があり、依頼しても責任があります。(ここはとても重要です!)
イギリスで使われている急変に迅速に対応するためのアセスメントツール。バイタルサインをスコアリングする。臨床で使うので、この機会に覚えていると役に立つ。
イギリスで使われているアセスメントツール。左から栄養、褥瘡、意識レベルのアセスメントに使われる。臨床でも使うので覚えておくと便利。
CBT対策におすすめのサイト
最近は、ネットで探せばCBTの過去問が出てきます。信頼できるかどうかは、ご自身の責任で利用をお願いします。
私のおすすめはフェイスブックグループの”CBT Support Group – Adult Nursing (MMA Healthcare)”です。MMA Healthcareはイギリスの外国人看護師リクルートエージェントでグループ参加者たちがテキストと出題問題をシェアしています。ただし、NMCは問題をシェアすることは禁じていることを理解しておいてください。
当初、私はこのエージェントを利用していましたが、色々とあり最終的に契約には至りませんでした。エージェントは便利ですがデメリットもあるため注意が必要です。

CBT合格に必要な学習期間
CBT合格に必要な学習期間は、医療英語の知識によって左右されます。英語で看護教育を受けた外国人看護師仲間は、短い人で1週間から数週間などさまざまです。全体的に割と短い期間の対策で合格している印象があります。
私は申請書類の都合や免許審査に時間がかかったこともあり7ヵ月間の準備期間がありました。学習後半は時間もあったのでNCLEX(北米の看護師試験)にも挑戦しました。期間や勉強量にこだわらず、自分が準備ができたと感じるタイミングで受けられればよいと思います。
結果について
結果は48時間以内に出るとされていますが、実際は30分〜1時間で分かるようです。Pearson VUEアカウントで確認できます。私の場合はテスト終了してから1時間後にチェックして分かりました。

CBT合格ライン
合格ラインは公にされていません。直近の受験者の成績によって定期的に見直しされています。
CBTの合格率
平均的な合格率は96~99%です。以前より対策が充実したため合格率が増加して驚異的な合格率の高さとなっています。
CBTは臨床経験があれば問題なく合格できる内容です。CBTに必要な医療英語を覚え、イギリスの臨床で使われているアセスメントスコア、用語を理解しておけばあまり心配はいりません。