ブログは「海外で看護師になる目標を達成したその後」にフォーカスして書いている。いつもブログでは私の経験をもとに書いているが、今回は私の友人である外国人看護師仲間たちの「目標を達成したその後」を書いてみたいと思う。
外国人看護師の4年後の進路
私がイギリスに移住・就職した2021年は、多くの国営病院(NHS)が外国人看護師の一括採用をしていた。私のグループは、合計で15人くらいだったと記憶している。
一括採用で入職した外国人看護師は、病棟またはユニット(集中治療室・救急病棟)に配属される。なかには日勤のみの部署に配属されることもあるが、大体は夜勤がある病棟かユニットに配属になる。

以前に開いた日本人医療者の会。看護師仲間のきうい、理学療法士をしていたさくらちゃん、ブログに寄稿してくれたゆいかちゃんが参加。イギリスで働く日本人医療者は少ないので同年代の友達は本当に貴重だ。彼女たちのおかげで今もこうしてイギリスで働けている、そのくらい大切な存在。
転職
一番多いのが転職。転職の理由はさまざまで、自分にとってのベストを考えて決断をしている。

以前勤めていた病院は、3年未満の離職率が高くて多くのスタッフを見送った。スタッフの出入りが激しかったため、知らない間に同僚が辞めていたことも珍しくなかった。下記に転職の主な理由を挙げていく。
労働環境
労働環境が悪いために転職するケースが一番多い。NHSは人手不足と資金不足で現場の負担が大きい。労働環境は職場にもよるが、病棟は特に厳しい。
メンタルヘルスの不調、休職
看護師はストレス度の高い職業であり、そこに異国で働くストレスが加わると、メンタルヘルスの不調をきたしやすい。こういった話はSNSに出ないだけで、国関係なく心のバランスを崩す外国人看護師は少なくない。私自身もしんどいときがあり休職をするか真剣に考えたことがあるし、健康と不健康は紙一重である。

人間関係
人間関係は働きやすさに直結する。日本より風通しは良く、いじめやハラスメントに対してはしっかりと対処されるが、残念ながらゼロではない。人間関係が悪ければ、次々と人は去っていく。

夜勤
夜勤は心身の負担が大きいため夜勤のない部署を好む人もいる。夜勤を卒業した同僚は、外来・検査センターなどの職場に転職している。
通勤が困難
ロンドンは家賃が高いため職場から遠くに住んでいる人もいる。遠ければ遠いほど通勤時間が長く、交通費が高くなるため通勤しやすい職場を求めて転職する。
異なる部署で経験を積む
病棟から手中治療室へ、内科から外科へ、未経験の科など新しいことを学ぶために転職する。場所が違えば学ぶことも異なるため、経験を積むために転職することもある。
昇進
病棟のシニアナース・クリニカルナーススペシャリスト・教育担当ナース・リサーチナースなどキャリアアップした人もいる。
現職で働き続ける
現職で満足していれば、転職する必要はない。移住時に就職した職場で働き続ける人もいる。働き続ければ慣れてきて居心地が良くなるし、勝手がわかって働きやすい。
他の国へ移住
イギリスより給料の良い国を目指して移住した人もいる。一番多い国はアメリカで、オーストラリア、アラブ首長国連邦と続く。イギリスで働く外国人看護師は、発展途上国出身が多く、自国より良い給料を求めて英語圏に来ている。そのため国自体にはこだわりがないように感じる。
家庭を築く
移民としてイギリスで家庭を築く人もいる。私の周囲では、自国からパートナーを連れて移住した人が多い。イギリスでパートナーを見つけた人もいるし、結婚して出産、育休を取得している同僚もいる。
家を購入する
イギリスでは、家が貴重な資産となる。長期的に住む人ほど家の購入する人が多く、配偶者またはパートナーと一緒に購入する。ロンドンの住宅は非常に高額なため、看護師一人の給料で家を購入するのはあまり現実的でない(エリアと物件にもよる)。そのため一人で買うより、パートナーまたは配偶者と購入する。
移住してから4年以内に買う人は少数で、購入のために貯金をし始める人が多い。
自国に帰る
自国に帰った仲間も何人かいる。やっぱり母国が良いという理由から、イギリスが合わない、メンタルヘルスを崩した、家族のために帰るなどさまざまだ。
ヨーロッパを旅するために数年間限定でイギリスで働く人もいる。旅のためはオーストラリア出身の看護師が多く、旅を満喫し終えたあとは母国に帰っていく。
さいごに
イギリスには20万人以上の外国人看護師がいる。これだけの人がいれば、4年後の進路は多種多様だ。外国で生きる分、困難なこともあるが、それぞれみんな自分の人生にとってベストを選んでいる。
参考:Nursing and midwifery register grows but pace of international nurse recruitment slows