イギリスで看護師として働くためには、NMC(Nursing Midwifery Council)に登録する必要があります。
NMC登録では、NMC公式HPの情報と私の経験とサポートをしている方々の最新情報をもとにイギリス看護師免許の申請の流れとポイントを紹介しています。今回取り上げるプロセスは、初回の申請後に行われる免許審査(Third party verification)です。
免許審査は厚労省の協力が必須です。現行のプロセスでは、厚労省がNMCの審査方法に対応していないため自分自身で仲介をする必要があります。
2020年以降、NMCに申請した日本人看護師はこの方法で免許審査を行っています。私の友人、そして免許申請のサポートした方々もこの方法を使い、無事に審査を終えています。今まで約20人以上の前例がいる確実な方法です。
免許審査の流れ
申請後、NMCは提出された看護師免許の確認と審査(Third party verification – Qualification regulator verification)に入ります。
日本の看護師免許の登録先は厚生労働省です。NMCは申請を受けたら厚労省にメールで連絡を取ります。
NMCが免許登録先に申請者について問い合わせメールを送る
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メールに対して登録先が対応
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免許の整合性を審査する
申請が完了するとNMCより厚労省へリンク付きのメールが送られます。登録先はそのリンクにアクセスし対応をします。NMCが申請者の免許の整合性があることを確認できれば審査は終了です。
厚労省がNMCから送られたリンクにアクセスし、クリックすれば終わる簡単なプロセスですが、残念ながら厚労省はNMCの免許審査メール対応ができません。そのためNMC申請前か申請直後に厚労省に連絡し、イギリス看護師免許申請のために対応をしてもらえるよう事前に依頼が必須です。
厚労省と免許審査
厚労省によると、発行された証明書(免許)の証明はできないルールがあり、外部リンクにアクセスして対応すること自体が困難だそうです。免許を管理する部署が免許の証明をできないのはどうかと思いますが、それがルールにようです。
何度も必要性を説明し何とか対応してもらえないか交渉しましたが、一貫して対応できないという返答は変わりませんでした。その後、厚労省がメール対応ができるように動いてくれた時期もありましたが、残念ながら現在もメール対応は不可となっています。
免許審査の対応
厚労省はメール対応はしないと一貫しているため、他の方法で免許審査をしてもらう必要があります。
上記の事情をNMCに相談したところ、行政処分関係英文証明書(Certificate of good standing)を代わりに送ることを提案されました。
行政処分関係英文証明書は、看護師として行政処分を受けていないことを証明する書類です。この証明書にも免許情報が記載されているためこの証明書を利用して免許審査をしてもらうことになりました。
厚労省に依頼する
上記の対応を厚労省に依頼したところ、行政処分関係英文証明書をNMCにメールで送ることは可能という返答をもらいました。
そのあとは行政処分関係英文証明書の発行願いを申請し、担当の方に作成した証明書をスキャン(PDFまたはJPEG)し、NMCへの返信メールに添付をお願いをしました。また、NMCへの返信は自分で書く必要があります。担当の方が確認できるように和訳もあわせてメールを送ります。担当者が分かりやすいように対応の手順書を作成しておくと親切です。
申請から約1ヵ月半後、証明書が作成がされNMCへの返信が完了しました。(看護師の英文証明書の発行は1ヶ月前後かかります。)
審査にかかる時間
免許審査は本来ならば営業14日以内に終えるとされていますが、合計で約2ヵ月半かかりました。この方法で審査をする場合は約2ヵ月はみておきましょう。免許証と行政処分の書類を手動で照合するため、かかり時間がかかるようです。
看護師の英訳免許と一緒に行政処分の書類も応募し、厚労省に連絡して対応してもらうのが効率よい申請方法です。
審査結果について
厚労省がNMCから送られたメールの対応を完了すれば免許審査は終了します。審査審査が終了するとNMCよりTest of Competence Invitationという以下のメールが届きます。

結果を確認する
上記のメールが届いたら以下の2点をチェックします。
①NMCオンライン
NMCオンラインにログインしステイタスが変わっているか確認をします。

② Qualification Regulator Verification
審査が完了すると免許審査の結果を見ることができます。Qualification Regulator Verificationの横にある”View”というボタンをクリックすると結果を閲覧できます。

Your eligibility regulator verifier for your qualification has: 以下に結果が書いてあります。
Your qualification has: 以下が”match”となっているか確認します。
indicated that your information details matched their records
このときに“did not match”だった場合は、すぐにNMCに連絡し理由を問い合わせましょう。同時に厚労省に対応内容を確認することをおすすめします。
上記の流れで免許審査は完了です。免許審査後に2つ目の試験、CBTを受験することができます。CBTは日本で受験が可能です。

これから申請する方へ
これから申請する方は、まず厚労省にNMCのメール対応について問い合わせをしてみてください。私と同じように発行した免許の証明はできないといわれた場合は、行政処分関係英文証明書のスキャンを代わりに添付して返信することを依頼してみてください。
審査をスムーズをするためにも事前に対応についてNMCに相談してもいいと思います。問い合わせは電話のほうがスムーズですが、文字として証拠が残るメールも有効活用しましょう。電話で質問するときは必ず担当者の名前を記録して、何かがあったときに対応できるようにしておきましょう。
厚労省について
ここからは私の経験と免許申請をサポートした方々からの情報をもとに厚労省の対応について書き残します。
海外の医療者免許の申請を担当するのは厚労省内の英文免許係りです。基本的には非協力的で対応を率先してやる印象はまったくありません。私が2020年に申請したときは、免許審査の協力はできないと断られたくらいです。「自分でやってください」とまで言われて絶句しました。日本の公的機関にはさまざまなルールがあり、前例がないことは絶対にやらない姿勢を貫いています。
英語を扱う部署ですが、英語ができない人が担当者になっており、その担当者も大体一年おきに変わっています。担当者が交代しても引継ぎがなされないため、交代の時期に依頼された人の書類は放置されている例が何度も聞かれています。そのため定期的な進行の確認が欠かせません。担当者によって対応の速度や質にも差があり、ひどい場合は書類をなくされています。このように厚労省の英文免許係は色々と問題があるため、粘り強く交渉し対応を依頼、進行を確認していく必要があります。