インタビュー

葵’s story|イギリスで看護助手として働き、日本へ帰国後に免許取得

My storyでは、イギリス看護師を目指す仲間やイギリスで現役看護師として働いている方々に協力してもらい、イギリス看護師になるまでのストーリーをインタビューしています。

今回は、イギリス北部にある都市ヨークを拠点にイギリス看護師を目指した葵さんにインタビューさせていただきました。葵さんは、看護助手であるヘルスケアアシスタント(HCA)として働き、YMSビザ終了後に日本に帰国しました。そのあとにNMC登録を始め、再度渡英を経てイギリス看護師免許を取得しました。
 
ー自己紹介
初めまして、葵です。
 
地元の大学を卒業後、大学病院で4年勤務後、ヨーロッパを半年旅行しました。その際イギリスでたくさんの素敵な人に出会い、ここで暮らしてみたいと思い、YMSビザにて2年間滞在(NHSでHCAとして1年半勤務)、ビザ期限満了とともに泣く泣く帰国しました。
 
帰国後、リバースカルチャーショックや日本の労働環境に苦しみ、観光ビザにて再び渡英、OSCEを受験し無事PINを取得しました。現在は就職活動中です。
 
ーイギリスで看護師になろうと思ったきっかけ

イギリスでの生活が自分には合っていて、日本に戻りたくないと思ったことが最初のきっかけです。そのためにはビザが必要で、ビザを得るには何が一番簡単か考えた際、看護師になることが自分の努力次第で達成できるものだと思いました。

正直にいうと、HCAとしての仕事がとても楽しく、毎日充実していたので、もしHCAとしてビザが得られるのであれば、看護師は目指さなかったと思います。
 
ーNHSでHCAとして働いて良かったこと、大変だったこと
日本とイギリスの医療の違いを知れたのはとても大きかったですし、面白いと思いました。地元の大学・大学病院を出た私の視野はこれほど狭かったのかと思い知らされました。自分が正義だと思って提供していた看護は自分本位だったのかもと、今までの看護観を考えるいいきっかけになりました。
 
また、たくさんのコミュニティーができたことも大きかったですし、現在看護師として就職活動をすすめる上で、頼れる人がたくさんいるというのは心の支えになっています。
 
様々なバックグラウンドの同僚と働くことには苦戦しました。何百回と ‘ You look after yourself first, you can only do your best, not more than that ‘ と言われました。自己犠牲型だった日本での自分の働き方はこちらでは異常で、リラックスして働いている同僚にイライラすることは多くありました。
 
また、自分ばかりがタスクをこなしている気がして、一人でストレスを感じてしまうことも。日本での当たり前が当たり前ではないとわかりつつも、それに心が追いつくのには時間がかかりました。
 
ーヨークでの生活、好きなところ
とにかく人が優しいところ、穏やかでゆったりしているところです。
トータル2年半ほど暮らしていますが、今でも(特に天気のいい日は)素敵な街だな〜と、ありふれた日常を写真に納めてしまいます。
 
また、エディンバラにもロンドンにも2時間弱で行けるため、観光もしやすいと感じています。
 
 
ーIELTSの勉強法
公式問題集を利用しました。Speakingは現地の友人、WritingはAIを頼りました。自分の興味関心のないトピックに関しては日本語でも意見を述べるのが難しく、自分の意見や考えを整理するのに役立つかなと思い、毎日ジャーナルを英語で書いていました。CBTやOSCEと比較すると領域が広すぎて、NMC登録のプロセスでいちばん大変で心が折れそうでした。
 
 
ーOSCE対策
Leeds Hospital が提供している有料の OSCE training program (4週間)に参加しました。金額が高く、正直躊躇しましたが、参加して良かったと心から思っており、これから目指す人にもおすすめしたいです。(WebsiteやInstagramがあるので気になる方は調べてみてください)
 
コース以外では病院勤務時に出会った友人に監督してもらい、アドバイスをもらっていました。イギリス人の看護師はOSCEについて知りませんが、イギリス国外出身の看護師は全員OSCEを受けているので、自分たちの経験も含めて様々なアドバイスをくれたのでとても助かりました。
 
 
ー最後にイギリスで看護師を目指す人へメッセージ
イギリス政府の移民政策や国内で教育を受けた看護師の雇用枠の確保といった動きもあり、現在看護師ポジションをゲットするのはとても大変です。実際自分もまだ就職活動中ですが、何度もお祈りメールを受信し、覚悟はしていたものの心が折れそうになります。時間もお金もかかるプロセスなので、本当にイギリスで看護師になりたいのか、もしなれなかったとしても後悔しないのか、そこはしっかり考える必要があると思います。
 
ただ、自分はいろんな人のサポートを受けながらこの長いプロセスを完了できたことはとても誇りに思っています。なので、もし躊躇する理由がお金や時間のみなら、一歩踏み出して一緒に頑張りましょう!
 
おわりに
葵さん、インタビューありがとうございました!
 
YMSビザは2年の期限があります。期限と戦いながらイギリス看護師を目指すのは、相当なプレッシャーがあったはずです。日本に帰国したあとも諦めず、努力をして免許を取得できたのは本当に素晴らしいと思います。
 
葵さんのお話を聞いて印象的だったのは、目標に対する前向きな姿勢と周囲の人との繋がり(コネクション)を大切にしていたことです。海外で看護師になる人は、そういったパワーを持っている人が多い印象があります。
 
就活、そしてイギリス看護師としてのこれからを応援しています。ここまで来た葵さんなら大丈夫です!
ABOUT ME
Mari
Mari
日英看護師。2012年看護師免許取得。総合病院勤務を経てカナダへ医療英語留学を経験。2021年に渡英しイギリス看護師免許を取得。ロンドンの大学病院(NHS)の循環器病棟にてシニアスタッフナースとして勤務。

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