以前、イギリス看護師の給料について9つの視点から解説した。給料の話になると高いか低いかの議論になりがちだが、さまざまな視点からみて実際にどうなのか考える必要がある。
2024年に賃上げがあり、イギリス看護師の給料事情が変わってきたので今回は2024/25年度のイギリス看護師の給料について解説していく。
イギリス看護師の給料の基本
イギリスはイングランド・ウェールズ・スコットランド・北アイルランドの4つの国で構成され、それぞれの国で給料が設定されている。今回は多くの日本人看護師が暮らすイングランドの給料について解説する。
バンドと呼ばれる階級によって給料が定められていて、大都市手当があるロンドン以外は一律同じ給料をもらう。新卒看護師と外国人看護師はバンド5からスタートする。
イングランド看護師の基本給:
バンド | ~2年以内 | 3年目~ | 5年目~ |
5 | £29,970 | £32,324 | £36,483 |
6 | £37,338 | £39,405 | £44,962 |
7 | £46,148 | £48,526 | £52,809 |
上記の基本給に加えて夜勤と週末勤務をすれば£3000~4000くらいの手当が加算される。
ロンドン中心部(Inner)の基本給:
バンド | ~2年以内 | 3年目~ | 5年目~ |
5 | £35,964 | £38,789 | £43,780 |
6 | £44,806 | £47,286 | £53,134 |
7 | £54,320 | £56,698 | £60,981 |
平均年収との比較
イギリスの平均給与が約£34,000なので新卒の時点では平均年収を下回る。夜勤・週末勤務があれば3年目以降に平均年収以上を稼げるようになる。夜勤・週末勤務がなければ5年目以降に平均年収以上に到達する。
ロンドンの平均年収は£44,000と他のエリアに比べて高い。ロンドンの物価(特に家賃)は高いため大都市手当をもらえる。ロンドン中心部(Inner)の場合、夜勤・週末勤務をして5年目以降に平均年収以上を稼げるようになる。
バンド5の給料はそこまで高くないが、バンド6以上になればそれなりに稼ぐことができる。師長クラスになれば1000万円を超える。
手当
日本はボーナス、通勤手当、住宅手当、地域手当、役職手当、扶養手当、退職金など充実しているがイギリスには一切ない。イギリスに唯一ある手当はロンドンの大都市手当のみで場所により基本給の5~20%が支給される。
フレキシブルな働き方
NHSではライフステージに合わせてフレキシブルな働き方をとることができる。
イギリスの給料は時給で支払われるため、日本のように正社員・パートで給料や待遇の差がない。ライフステージに合わせて時短やパートタイムで働いたり、希望降格をして負担を減らすなどフレキシブルな対応ができる。また、一日あたりの勤務時間を増やし、働く日数を減らす(例:1日10時間、週4勤務)こともできる。
職場、ポジションによって対応できる幅は異なるが、こういった制度は細く長く働き続けることを可能にしている。
バンクシフト
バンクシフトは、本来のシフトに加えて追加で働くシフトのこと。バンクシフトは元々のスタッフ不足や急な病欠をカバーするもので、シフトに欠員があればバンクシフトをすることができる。NHSでフルタイムで働くと年間で27日間の有給をもらうことができるため、有給中に働くスタッフもいる。
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イギリスの看護師の平均年収は国全体の平均年収をやや上回る
- 新卒時は平均年収を下回る
- 勤務を開始してから数年後に平均年収を上回る
- 昇格するとそれなりに稼ぐことができる
- ライフステージに合わせてフレキシブルに働くことができる
- 一般職より長期に渡り安定して稼ぐことができる
- 2024年度の賃上げで給料水準は大幅に改善された
続きはイギリス看護師の給料の問題点について解説しています。