イギリスのプリセプターシップ制度について
日本の看護教育の現場でおなじみのプリセプターシップ。イギリスにも新人看護師向けのプリセプターシップがある。イギリスでプリセプティ(指導を受ける側)とプリセプター(指導する側)の両方を経験したので、その実体験をもとに、日本との違いも交えながら書いてみたいと思う。
プリセプターシップとは
プリセプター制度とは、先輩看護師がマンツーマンで新人看護師を指導・サポートする教育制度である。技術面だけでなく、メンタル面の支援も含まれるのが特徴。
イギリスのプリセプターシップ
イギリスの国営病院(NHS)では、主にバンド5の新人看護師、そして新しく入職した外国人看護師を対象にプリセプターシップが導入されている。これは必須研修であり、新人看護師の全員が受ける必要がある。
内容はトラストごとに多少違うけど、大体以下の内容で構成されている。
- プリセプターシップ研修
- 配属部署に関連した研修
- 1年間を通したプリセプターとの定期面談
面談は通常1年間で3回ほど行われる。目標設定と評価、困っていることはないかなどの確認を行い、最終的にリフレクションを書いて提出すると修了証がもらえる。
プリセプティーとしての経験
私は2021年に入職したので、当時勤めていた病院の外国人看護師向けのプリセプターシップを受けた。私のプリセプターは、新しくシニアスタッフとなったバンド6の先輩で、私が初めてのプリセプティーだった。
制度としては整っているが、日々の業務の中で常にマンツーマンで指導を受けるという形ではない。むしろ、定期面談を軸にサポートを受けるという印象であった。
プリセプターとしての経験
プリセプターは、経験を積んだバンド5、またはシニアスタッフのバンド6が担当する。私の経験では、特別な必須研修はなく、気づいたら任されるという感じだった。経験年数の基準はなく、上司ができると判断すれば任される。
日本との違い
大きな違いは、プリセプターの役割の位置づけだと思う。
日本では、プリセプターとプリセプティの距離がとても近い。私が新人だった頃は、勤務が重なれば毎日のようにペアで働いていた。
一方イギリスでは、チーム全体で実地指導を行う文化があり、プリセプターは「専属の指導者」というよりも「相談役・サポーター」に近い存在である。
また、イギリスの看護教育は実践に重きを置いているため、卒業の時点である程度自立して働けるレベルに達している看護師が多い印象がある。さらに、外国人看護師の多くは母国で臨床経験を積んでいる。そのため、日本ほど細かい実地指導が必要とされない場合も多い。
そういった背景もあるためか、イギリスのプリセプターの責任や心理的負担は、日本に比べるとやや軽いと感じている。
大変なこと
ひとつ大変なことを挙げるとすれば、なかなか面談が実現しないこと。
事前に日程を設定し、書類の記入を依頼しても、準備をしてこないスタッフが少なくない。最初は戸惑ったけど、イギリスでは「当日にその場でやればOK」という感覚が一般的であることに気づいた。
業務評価面談(アプレイザル、パフォーマンスレビュー)でも同様で、設定した日を忘れていることすらある。日本であれば注意されそうだけど、イギリスでは最終的に完了すれば問題ないという雰囲気である。
日勤帯は忙しいため、面談は夜勤帯や週末に行うことが多い。勤務が同じ日を探して、面談を設定している。
才能のある新人看護師
看護実習についての記事でもシェアしたけど、一年に一人くらいの頻度で才能のある新人看護師(学生)に出会う。ここでいう「才能」とは、対人関係スキル、リーダーシップ、決断力、交渉力といったソフトスキルのこと。イギリスでは文化や教育的な背景から、こういったスキルがずば抜けるような人材が育ちやすいのではと思っている。
こういった才能のある新人看護師は、人柄も素晴らしい。そういったスタッフとは、隣にいるだけで安心するし、楽しく働けるので有難い存在になっている。
ちょうど今担当している新人看護師が才能が溢れる人で、彼女の日々の立ち振る舞いから学ぶことが多い。
追加で指導が必要な場合
もちろん、より手厚い支援が必要な看護師もいる。その場合は個々のスキルや成長ペースに合わせて目標を設定する。
イギリスには日本のように年度毎の一括採用はないため、常に新人や中途入職者が入ってくる。「この時期までに夜勤に入る」「この時期までにこの手技ができるようになる」などの決まった基準もない。その人のレベルに応じて柔軟に目標設定・サポートが行われる点は、イギリス看護教育の良いところだと思う。
それでも難しいケースでは、教育担当看護師(Nurse educator / Practice educator)や師長と連携しながらサポートをするしていくことになる。イギリスも日本と同じく、難しいケースは存在する。
3月に入り、春の訪れを感じるようになった。今、大学院のコースを受けていて、事前課題やプレゼンなど忙しくも充実した日々を過ごしている。次にいつ更新できるか分かりませんが、落ち着いたらまた書きます🌸

