病棟勤務(4年目~)

経験、スキル、文化的な背景が多様なスタッフと協働するスキル

ヒューマンスキル

私の職場には、経験・スキル・文化的な背景が多様なスタッフが在籍している。日本は文化的な背景が比較的共通しているけど、経験やスキル、個性が多様な人材が集まっているのは同じだと思う。

イギリスで働いて気付いたことは、多様なスタッフと協働するには、ヒューマンスキル(対人関係スキル)が大切ということ。

ヒューマンスキルとは、他者との良好な人間関係を構築し、円滑なコミュニケーションを行うための能力。カオナビより引用。

ヒューマンスキルを学ぶべく、Nバクさんの著書、Nバク流 ヒューマンスキル戦略と高橋奈央子さんのベテラン・管理職ナースの職場改革ちゃんねるを参考にした。今年は、ヒューマンスキルのなかでも、リーダーシップとEQ(こころの知能指数)を磨くことを目標に頑張った。

お二人は中堅と管理者向けに情報発信をしているけど、ヒューマンスキルは、新卒と若手看護師にも必要なスキルだと思う。イギリスでは、経験年数関係なく、すべての看護師にリーダーシップが求められる

看護師とリーダーシップ|リーダーシップ研修を受ける 看護師とリーダーシップ 看護師は様々なスキルを求められるが、欧米で最も重要視されるのはリーダーシップスキルだと感じる。日本ではリー...

指導に関しては、私の友人、内藤美欧さんのマンガでわかる看護の教育: はじめてのプリセプター,OJTがおすすめ。内容はプリセプターについてだけど、指導において大切なことが詰まっていて、しかも分かりやすい。この本にもヒューマンスキルがたくさん登場する。

多様なスタッフと協働する難しさ

病棟でシニアスタッフとして働いていると、人をマネジメントすることの難しさを日々実感する。

人のマネジメントのレベルは、役職によって違いがあり、師長は病棟全体のマネジメント、副師長は補佐、そして私の現ポジションであるシニアスタッフナースは、主にインチャージ(責任者業務)を担い、各勤務帯でのマネジメントを担っている。

イギリス、特にロンドンで働くスタッフのバックグラウンドはさまざま。経験年数、スキル、文化的な背景が異なるスタッフを一つのチームとしてまとめ、協働することが結構難しい。

イギリス看護師のキャリア|病棟シニアスタッフナースの役割と給料 イギリスで看護師としてキャリアアップする 国民医療サービス(NHS)で働くイギリス看護師はバンド制になっていて、役職ごとにバンドと...

多様なチームのリアル

私のチームは、出身国は15か国以上、年齢は22歳から60歳以上まで幅広く、スキルもさまざま。バンド7のスペシャリストナース経験があるスタッフもいれば、日々の業務に多くのサポートが必要なスタッフもいる。

職場には、色んな個性を持つ人がいる。

  • 仕事ができる人
  • 協調性のある人
  • 仕事をしない人、適当な人
  • すぐ怒る人
  • 相手の話を聞かない人
  • よく文句を言う人
  • 仕事中に突然いなくなる人
  • 同僚とよく衝突する人
  • 常に仕事と関係のない話をしている人
  • ほぼ毎日遅刻する人

イギリスでは、日本のように「和」を重視して衝突を避ける文化はあまりなく、大小さまざまなトラブルが日常的に起こる。それをまとめるのもインチャージの役割。これに国民医療サービス(NHS)の計画性のなさによるカオスも加わり、常に自分のスキルが試されていると感じる。

職場によってシニア(バンド6)の役割は異なるけど、患者を直接看ることよりも、人とリソースをマネジメントし、質の高い医療と看護を提供するためにリーダーシップを発揮することが求められる。

チームを引っ張るというよりは、一人ひとりのスタッフにさまざまな角度からはたらきかけ、強いチームワークを作り出すのがシニアの役割だと思っている。

大変なこと

たまに自分がベビーシッターのように感じるほど、大変なこともある。

  • スタッフ同士がケンカをして泣き出す、叫ぶ
  • やりたくない仕事は拒否する
  • やりたくない仕事を他のスタッフに押し付ける
  • 仕事が終わっていないのに休憩を規定の時間以上とる
  • 仕事中に突然消える

こういったことに介入して解決するのもシニアの役割。

看護師の役割は、患者に医療と看護を提供すること。でも、問題行動のあるスタッフへの対応に労力や時間を取られてしまうと、本来の患者ケアを十分に提供することが難しくなる。

だからこそ、人のマネジメントが重要。逆に人のマネジメントがうまくいけば、スタッフ一人ひとりが持っているスキルを発揮できるので、忙しいシフトであっても良いチームワークで乗り切ることができる。

だから誰と働くかが重要で、その人が持っているスキルを発揮できるようにサポートすることを心掛けている。今のチームは精神的に大人な人(EQの高い人)が多くて、とても助かっている。

また、インチャージに何を期待するかは、スタッフによってかなり違う。なかにはヘルスケアアシスタント(看護助手)のように、ベッドサイドナースのことを手伝うべきと考える人もいる。

多くのスタッフが師長の業務内容を知らないのと同じで、患者を受け持つ立場のスタッフは、インチャージが普段どんな業務をしているのかを知らないことが多い。

業務が大変で、誰かに手伝ってほしい気持ちはよく分かる。ただ、インチャージにしかできない業務もあって、状況によっては、どうしてもスタッフの要望に応えられない場面も出てくる。伝え方、手伝う範囲を工夫したとしても「手伝ってもらえなかった!」と文句を言われることもあって、これが辛かったりもする。

チームとして協働するために日々実践していること

今までの経験を通して、チームとして協働するために日々実践していることを書いてみる。

良好な人間関係を築く

普段から自分のことも相手のことも知っておくことで、チームワークを発揮しやすくなる。

公平に接する

仲の良いスタッフ、苦手なスタッフがいても、すべてのスタッフに公平に接する。

バウンダリーを持つ

自分にできること・できないことを判断し、自分でやるのか、誰かに頼むのかを決める。度を超えた要望は、きちんと断る。

周囲に頼る

自分一人の力には限界がある。チームメンバー、上司、メイトロン(師長より上の職)に頼ることも大切。

リフレクションをする

上手くいかなかったときや反省点があるときは、リフレクションをする。どんなことが上手くいったか、上手く行かなかった原因は何か、次はどう改善できるか、書いて整理している。

休む

これが一番大切。勤務帯の責任者となり、色々な判断をして最終的な責任を追うことになるから、心身ともに疲弊しやすい。しっかり休み、次のシフトに持ち越さないようにしている。

おわりに

個性が多様なスタッフと協働するのは難しいこともあるけど、関わり次第で強いチームワークがつくれるのでやりがいがある。ここ2年間のシニアの役割は、私に必要だったヒューマンスキルを磨くきっかけになったし、成長できたと感じる。

来年も自分らしく、健康第一でたくさん成長できるよう頑張っていきます。今年もブログを読んでくださり、ありがとうございました。良いお年を!そして来年もよろしくお願いします🐎

ABOUT ME
Mari
Mari
日英看護師。2012年看護師免許取得。総合病院勤務を経てカナダへ医療英語留学を経験。2021年に渡英しイギリス看護師免許を取得。ロンドンの大学病院(NHS)の循環器病棟にてシニアスタッフナースとして勤務。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。