日本の看護師は素晴らしい
イギリスで看護師をして4年目になり、最近考えることがある。
日本の看護師は素晴らしい
ここであえて「看護」ではなく「看護師」が素晴らしいと書くのは、看護を提供する人である看護師を強調したかったから。
私が働くイギリスのNHS(国民保健サービス)は、200以上の異なる国籍のスタッフが在籍するグローバルな職場だ。さまざまな人種のバッググラウンドを持つ同僚たちと日々働いている。今回は、イギリスと日本の両国で看護師として働いて実感した日本の看護師の素晴らしさをシェアしたい。
日本の看護師の素晴らしいところ
知識・スキルの平均が高い
日本の看護師は、実習や新人教育の場で「なぜこのケアをするのか」という根拠を常に求められる。先輩や指導者から「そのケアの理由は?」「エビデンスは?」と聞かれる場面が多く、きちんと答えられなければ、実施させてもらえないこともある。そのため事前に必死に調べる必要があり、その結果として一定水準以上の知識とスキルが身についていく。こうして養った知識とスキルは、質の高い観察力やアセスメント力に繋がっていく。
イギリスでは「実践しながら学ぶ」スタイルが主流であり、日本ほど深い知識を求められる場面は少ない。そのため、個々のスキルのばらつきが大きく、経験や学習意欲によって能力の差が生じやすい傾向がある。できる人はものすごくできるし、できない人はここには書けないほど、本当にできない。
日本の看護業界では、厳格な指導が行われることが多く、その影響でストレスや離職につながるケースも少なくない。しかし、こうした教育方針が結果として、根拠を重視した看護の実践につながり、看護師全体のスキルの高さに繋がっている。
幅広い知識を持っている
日本の看護師は特定の分野に特化せず、幅広い診療科に対応できるよう求められる。異動の機会も多いため、さまざまな領域の知識とスキルを身につけやすく、専門外の分野でも一定の対応が可能だ。一般的な病気の知識と治療を網羅的に理解していて、患者をアセスメントするときには頭から足のつま先まで観察することができる。
イギリスの医療は「餅は餅屋」という考えのもと、各分野にスペシャリストが存在し、それぞれが専門性を極めている。特定の領域に特化し、深い専門知識と高度なスキルを持つ点が強みだ。しかし、その反面、専門外の分野に関する知識が不足しやすい傾向がある。
患者一人ひとりの情報を細かく把握している
日本の看護師は、患者一人ひとりの情報を細かく把握している。疾患や既往歴、家族構成、社会的背景、自立度といった基本的な情報に加え、患者の好みや入院中の生活パターンなども把握している。
日本の看護師が患者の情報を深く把握できる背景には、始業前の情報収集の習慣も大きく影響している。始業の30分〜1時間前には出勤し、カルテを細かく確認することで、すべての情報を把握した上で勤務を開始するのが一般的だ。このような綿密な情報収集の積み重ねが、患者一人ひとりへの深い理解につながっている。
イギリスでは、患者の情報を網羅的に把握している看護師はそれほど多くないように感じる。バイタルサインの測定、点滴管理、清潔ケアなどの業務を優先し、一日のルーチンワークを効率よくこなすことに重きを置いている印象を受ける。
勉強熱心
日本の看護師は一人ひとりの知的好奇心が高く、勉強熱心だと思う。知らないことを知る、新しいことを学び続ける意識が高い。日本の教育熱心な病院では、定期的な研修や勉強会がある。こうした研修や勉強会の多くは、時間外で給料も出ないが、自主的に参加する看護師は多い。
勤勉で真面目
文化的・歴史的背景から、日本人は勤勉な人が多い。日本では手が空いたら何かできることはないか探すが、イギリスでは手が空いたら休む文化を持つ。
仕事への責任感にも違いがある。イギリスで働き始めた当初、驚いたのが、頼まれたことをすぐにやらないことだった。イギリスでは、物事を待つことが当たり前であり、日本のように迅速に対応する習慣はない。同僚に仕事を依頼したとき、いつまでたっても行動に移さず、心配したことがあった。イギリスでは、人に何かを頼んだ場合、半分の人がそのうちやり、残りの半分は完全に忘れる。そのため、さまざまな仕事が進まないことが日常茶飯事だ。
患者にとって、日本の看護師は頼んだことをすぐにやってくれるので、助かると感じるだろう。イギリスでは、待つことが当たり前であり、頼んだことを忘れられることも多いため、患者は何度も頼んだり、質問したりすることになる。
まとめ
日本とイギリスの両方で働いた経験があるからこそ、語ることができる日本の看護師の素晴らしさを今回シェアしてみた。
日本の看護師の素晴らしさについて熱く語ったところで、少し視点を広げて考えてみたい。
長くなってきたので、続きは次のブログで!
