病棟勤務(4年目~)

イギリス看護師の転職|一か月を振り返る

初めての転職記

転職してから一か月が経ち、身と心が少しずつ新しい環境に慣れ始めてきた。

集合オリエンテーションを受けた後、病棟看護師として勤務を開始。システムや業務の流れを覚えるために、同僚に1対1で指導してもらうシフトを組んでもらった。イギリスでは正式な人員数には含まれない、研修期間中のことをsupernumerary(スーパーヌーメラリー)と呼び、指導者となる同僚を付けてもらえる。

研修期間中は、患者受け持ちとインチャージ(日本でいうリーダー業務)の両方を行った。日勤と夜勤を含む6回の勤務のあと指導者付きの勤務は終了し、独り立ちをした。

一ヵ月を振り返る

成長を感じる

イギリスで看護師として働き始めた頃と比べて、さまざまな面で自分の成長を実感している。イギリスで働き始めたときは、毎日が限界突破だったけど、前職で得た経験のおかげでスムーズに適応できていると思う。異なる国の医療制度・システム・ワークカルチャーをイチから覚えるのはかなりの負担だ。

自分のスキルを試される

新しい環境に入り、毎日が自分のスキルを試されているようだった。新しい上司とスタッフと関係を築く対人関係能力、新しい環境への適応力、前病院との違いを理解する柔軟性、新しいことを覚える記憶力、分からないことを聞く質問力、そして即戦力。どこまで自分が対応できるかによって、現在の自分のスキルが否応なしに見えた。

世界が広がった

イギリスの国営病院は、トラストと呼ばれる複数の病院が集まって運営している。トラストによってポリシー・システム・人員配置などあらゆることが異なる。前職で見たこと学んだスタンダードが壊されて、柔軟に考えられるようになり世界が広がった。

イギリスはエリアによって貧富の差が激しいため、病院によって患者層が異なる。病院によって持つ役割も異なるし(大学病院・専門病院・地域の中核病院・リハビリ病院など)、病院の持つ風土やスタッフの雰囲気も全然違う。

ロンドン中心部はさまざまな特色を持つ病院がそろっているため、自分の好みや学びたいことに合わせて病院・職場選びをしやすい。私自身の経験、友人からの情報、サポートをしている人たちからの情報のおかげでロンドン市内の病院には詳しくなった。もしイギリスまたはロンドンで病院(職場)選びの相談があったら問い合わせから連絡をどうぞ😊

自分に優しくできた

イギリスで初めての転職、シニアポジションということもあり、それなりのプレッシャーを感じていた。新しいことを覚えるのは、時間とエネルギーを使うのでかなりのフラストレーションを感じたが、そのストレスを受け入れ、よくやっていると自分を褒めることにした。

海外生活では、メンタルヘルスのセルフケアがとても大切だと感じている。何が自分にとってリラックスできるか、不安やストレスを解消できるかを分かっていると、心身の健康を保ちやすい。

私が日々やっていること:通勤中にメディテーションの音楽を聴き、深呼吸をする。日記を書く。休みの日はヨガと散歩をする。パートナーに今日あったことを聞いてもらう。友達と会い、話して発散する。

特に助けになっているのがパートナーとイギリスで働く日本人看護師の友達で、彼らのおかげで頑張ることができている。海外生活では人とのつながりが本当に大切だと感じる。

新しい環境に適応するまでの軌跡

転職してから一ヵ月たった今、不安を感じていた時期は終わり、少しずつ落ち着いているのを感じる。この心境の変化を感じて、新しい環境に適応するための心理的な軌跡があるはずと思って調べてみたら、ぴったり合う理論を見つけた。

異文化適応のUカーブ理論

異文化適応のUカーブ理論は、1955年にノルウェーの社会学者セバーン・リスガードが提唱した理論です。 
リスガードは、国際学生や労働者が異文化環境で経験する心理的変化に着目し、4つの段階をモデル化しました。

抜粋:異文化適応のUカーブ理論とは?

ChatGPTによると、新しい環境に適応するまでの心理的な軌跡は、一般的に以下の4つの段階をたどる:

  1. ハネムーン期:新しい環境や経験に対する興奮や期待感が高まり、ポジティブな気持ちが強い時期。
  2. ショック期:現実とのギャップやストレスを感じ、戸惑いや不安、ホームシックなどのネガティブな感情が出てくる。
  3. 調整期:環境に徐々に慣れ、問題への対処方法を見つけ始める。理解が深まり、前向きに適応する力がついてくる。
  4. 適応期:新しい環境が「普通」になり、日常生活が安定する。自信がつき、自己成長を実感する段階。

Uカーブモデルは、異文化だけでなく、新しい職場や生活環境への適応にも応用できるため、転職後の心理的な道のりを理解するのにも役立つそう。この理論、イギリスに移住したときに知っておきたかった。

私は今ちょうど調整期に入ったところ。ハネムーン期は入職前のワクワクのみで早々に終了し、働き始めてからは「あれもこれも違う!」とびっくりすることだらけでショック受けまくりだった。前はこうだったオバケにはなりたくなくて、とりあえず受け入れるようにしていたけど、ショックは大きかった。新しい環境に慣れるまでは気持ちが落ち着かず、前の職場を恋しく想ったりするときもあった。

同僚からもらったカード

適応期に入れば、新しい職場でどう成長していくかがもっと見えてくると思うので、今はこの調整期をスムーズに歩んでいくのがポイントだと感じる。一か月で調整期までたどり着けた適応力は自分で褒めてあげたい。NHSの医療現場はカオスだし、働いていると自然と逞しくなっていく。

これから

イギリス生活でいえば、私は適応期に入って生活も心も安定している。イギリスで働き始めたときは、余裕がなくてブログをあまり書けず、フレッシュな気持ちや学びをタイムリーに書くことができなかった。生活が安定した今、タイムリーに書くことができて嬉しい。イギリスで看護師になる前からつくったこのブログも5年目を迎えた。これからも書きたいことをマイペースに書いていきます。

ABOUT ME
Mari
Mari
日英看護師。2012年看護師免許取得。総合病院勤務を経てカナダへ医療英語留学を経験。2021年に渡英しイギリス看護師免許を取得。ロンドンの大学病院(NHS)の循環器病棟にシニアスタッフナースとして勤務。

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